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正しい避妊法を知ってますか?

2025年6月

避妊法の歴史は古く紀元前19世紀のエジプトのカフーン・パピルスには、アカシア樹脂や蜂蜜、ソーダ灰を用いる方法、さらには鰐の糞を使う奇妙な避妊法が記されています。一方で「授乳を継続する」といった現代にも通用する方法も示されており、「避妊」は古来より人類共通の課題であったようです。

国連の統計データ「World Contraceptive Use (WCU)」に世界の避妊法使用状況が示されています。避妊法は近代的避妊法と伝統的避妊法に分類されます。授乳法は意外にも近代的避妊法に分類されます。
世界で使用される避妊法には日本では普及していないものも少なくありません。インプラント避妊薬は上腕に埋め込みプロゲスチンを放出して避妊効果を発揮します。パール指数は0.1と非常に低く3~5年有効とされています。
パール指数とは100人の女性が1年間避妊を続けた時に妊娠する数を表します。数字が低いほど避妊効果が高いとうことになります。例えば正しい使用での経口避妊薬(低用量ピル)のパール指数は0.3であり男性用コンドームは2です。ただしコンドームに関しては実際には正しく使えていない人も多く一般的な使用としてのパール指数は13まで跳ね上がります。もはや避妊法とは言えなくなってきます。
一方で性感染症予防の観点からコンドームの使用は非常に重要です。海外では実際にコンドームを使用した授業を行う学校もありますが、残念ながら日本の教育現場ではまだまだ実施が難しいです。日本でもようやく6月末にプロゲスチン単独経口避妊薬の発売が開始されます。乳汁分泌に影響を与えないことから授乳中でも内服ができパール指数は0.3です。低用量ピルのような血栓のリスクもないのでより多くの女性の使用が期待されます。

日本の避妊法使用率は国際的に見ても低水準です。WCU2015のデータによると日本の近代的避妊法使用率は33.1%(コンドーム30.8%、経口避妊薬0.9%、銅付加子宮内避妊具IUD 0.4%)、伝統的避妊法使用率は9.6%でした。一方フランスでは近代的避妊法使用率72.7%(コンドーム7.0%、経口避妊薬36.6%、IUD 21.5%)、伝統的避妊法5.7%で日本とは大きな開きがあります。他のデータを見ても日本では過去50年間で避妊法使用率がほぼ変化していないことがわかっています。
日本はHPVワクチンの導入遅れと同様に避妊法に関しても世界の潮流から取り残されています。社会的・文化的な要因がこの現状に影響を与えている可能性があり近代的避妊法の認知向上と普及を進めることが課題です。今後さらなる政策の改善や教師や校医・産婦人科医のよる学校での啓発活動の拡充が必要であると考えます。

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