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パルスオキシメータで測るもの

2021年11月

 新型コロナウイルス感染症の重症度判定の際に、指先で酸素不足の有無をみるパルスオキシメータという機器が注目されました。いったい何だろうと思った方も多いのではないでしょうか。あれは動脈血の酸素飽和度を測定する装置で、つまり酸素の取り込み量を簡単に評価するための装置です。
 血液中の酸素の量は本来動脈血酸素分圧であらわします。酸素分圧とは全気体のうち酸素が占める圧を指します。例えば空気中の酸素濃度は21%なので、気圧が760mmHgの平地では酸素分圧はおよそ160mmHgとなります。それが肺に吸い込まれて二酸化炭素と交換で血液中に入ると分圧はおよそ80~100mmHgとなります。これが健康な人の標準的な動脈血酸素分圧です。また体の酸素が不足し臓器が十分機能しなくなる状態を呼吸不全と呼びますが、これは酸素分圧が60mmHgを下回る時に起こります。従って動脈血中の酸素分圧は少なくとも60mmHg以上に保たれる必要があります。このように動脈血酸素分圧は人の呼吸を評価するのには非常に大事な数値ですが、測定するためには動脈に針を刺して血液を採取する必要があり、なかなか大変です。
 さてそれではパルスオキシメータは何を測っているのでしょうか。それは動脈血中の赤血球に含まれるヘモグロビンのうち酸素と結びついているものの割合です。イメージ的には、酸素を体のあちこちに運搬する働き手であるヘモグロビン達のうちどれほど多くのものが実際に酸素を抱えて稼働しているかという割合です。酸素(O2)飽和度(Saturation)=SpO2とよび、簡単な数値ではあるものの動脈血中の酸素分圧をしっかり反映します。小学校で酸素の多い動脈血は明るい赤色で、逆に酸素の少ない静脈血は暗い赤色をしていると習ったと思いますが、この機器はその原理を利用して動脈血中の酸素の多寡を測定しています。指先を赤色光と赤外光で照らし、その吸光度の違いから酸素と結合したヘモグロビンの全ヘモグロビンに対する割合をパーセントで表示するのです。一般的にはSpO2=99~96%が標準的な値とされ、90%以下は呼吸不全と判定されます。SpO2=90%がちょうど酸素分圧60mmHg程度に相当することもあり呼吸不全の判断の目安にしやすく、しかも非常に簡易に測定できるため酸素化の判定基準として重宝されているのです。

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