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知っておきたい子供の側弯症(背骨の曲がり)

2021年10月

 学校の運動器検診で背骨の曲がりを指摘されたお子様もいるかもしれません。
 そもそも側弯症(脊柱側弯症)とはどのような病気でしょうか?

 脊柱を正面から見た場合に、左右に曲がっている状態を脊柱側弯症といいます。弯曲の大きさは、上下で最も傾いている背骨どうしのなす角度(コブ角)で判断します。この角度が10°以上あるものが側弯症です。側弯症は手術が必要と判断されるような角度(40°~50°以上)になっても、痛みなどの症状を出すことはまれです。しかし、進行すると、健康に直接影響を及ぼすような障害を引き起こすことがあります。

 側弯症が身体に及ぼす影響としては、①外見上の異常として、片方の背部や腰部の突出や肩の高さの左右差、ウエストラインの左右非対称、肋骨の突出、乳房の形の左右差、②心理的負担、ストレス、③痛み、④神経症状、⑤呼吸器症状があげられます。

 発生頻度として、10°を超える側弯症は全体の2~3%であり、20°以上で0.3~0.5%、30°以上で0.1~0.3%、40°以上は0.1%未満とされています。
 原因がわからない特発性側弯症が側弯症全体の80~85%を占めます。突発性側弯症には、①乳幼児期側弯症: 3歳以下で発症し、男児に多いです。②学童期側弯症: 4~9歳で発症し、進行する例が多く見られます。③思春期側弯症: 10歳以降に発症し、多くは女子です。

 特発性側弯症は、体の発育や成長が止まるまで進行し続ける傾向があります。発症年齢が若く、残っている成長期間が長いほど、進行する可能性が高いといえます。一般的には、骨成長が成熟期に達すると側弯が急速に進行することはなくなります。

 近年、側弯症に対する遺伝子研究が盛んに行われており、発症や進行には複数の遺伝子が関係していると考えられます。ご両親のどちらかが側弯症の場合はお子様の背中を、お子様が側弯症と診断された場合には兄弟姉妹の背中を、念のため専門医に調べてもらうほうが安全です。

 最近、東京都の女子中学生の協力を得て行った研究結果では、通学鞄の種類や重さ、寝る姿勢、睡眠時間、ベットか布団かなどの生活習慣は側弯症と関連はなく、妊娠や出産に関係した因子も側弯症と関連はありませんでした。ただ、やせ型の女子に側弯症が多いことが指摘されています。

 側弯症を早期に発見するため家庭でもできる検査があります。特に有効なのが、体幹前屈検査です。両腕を自然に前に垂らし膝を伸ばしたまま、ゆっくりおじぎをさせます。肩周辺、背中、腰部の順に左右の高さに差があるかどうかを前か後ろから確認してください。
続いて、真っ直ぐに立った状態で、ウエストライン、肩の高さ、肩甲骨の高さと突出の程度について、左右差があるかを確認します。これらの検査で左右差があれば側弯症の疑いがあります。

 治療法には、装具治療と手術治療があります。側弯症の程度や年齢を考慮して方法を選択します。
① 装具をつけない経過観察: 成長期に側弯症が25°未満の軽いカーブの場合は、定期的なX線検査と整形外科医による診察を受けることが大切です。進行した場合は装具治療に移行します。
② 装具治療: 側弯が20°~45°程度の中等度の側弯症の場合は、進行防止のために装具治療を行います。装着時間が長いほど効果があります。成長が止まり、骨が成熟して側弯の進行もなければ、徐々に装具装着時間を減らし、装具治療を終了します。
③ 手術治療: 高度の側弯症を矯正し進行を防止できる唯一の方法は手術です。リスクをゼロにすることはできませんが、適切な予防や対処も行われ、手術治療の安全性が向上しています。

 脊柱側弯症は成長期にいつでも発症するため、成長が継続している間はたとえ一度の検診で異常がなくても安心できません。気になる症状があれば整形外科の受診をお勧めします。

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