医療トピックス

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エクモ(ECMO)の話

2021年1月

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、重症患者数も増えてきています。重症患者さんの治療で「エクモ」という言葉をテレビなどから耳にする機会も多くなっています。
今回は「エクモ」という医療機器についてお話いたします。
 ヒトの肺は、吸い込んだ空気(吸気)に含まれる酸素を血液に与え、血液中の二酸化炭素を吐き出した空気(呼気)で体外に排出する役目があります。また、心臓は静脈の血液を肺に送り、肺からの血液を動脈から全身に送る役目をしています。
 肺炎などで肺の機能が悪くなり、血液に酸素を与えることができなくなった場合には、酸素吸入をし、さらに悪い場合には強制的に換気をさせるため人工呼吸器を使います。それらの治療でも救命困難な重症呼吸不全や循環不全のうち、回復が見込める場合には「エクモ」を使うことがあります。「エクモ」は肺が本来行うべき機能に代わり、肺を全く使用しなくてもよい状態を作り出します。それにより、人工呼吸や高濃度酸素による肺の障害を回避しつつ、肺が良くなるまでの時間を確保することができます。
 「エクモ」とは、
① 直接血液に酸素を与え、二酸化炭素を除去する人工肺と、
② 体内から血液を取り出し人工肺に送り、体内に血液を戻すポンプ
によって構成されます。足にある太い血管から血液を取り出し、首にある血管に送り戻すというしくみが一般的で、複雑な回路やカニューレ(管)が多数あり、血管に太い管を入れるには高い技術を必要とします。
 究極的な生命維持管理装置のため、管理になれた医師・看護師・臨床工学技士などの専門チームが必要な医療技術であり、装置や資材にも限りがあります。また「エクモ」を稼働させるためには、施設として経験を積み、安全に管理を行うことが必要で、それには時間がかかります。
 限りある「エクモ」を有効に利用するためには、まずは皆さんが感染しないようにすることが重要です。若い世代は感染しても重症化しないとの報道も多く、つい大丈夫だと思ってしまうことも多いと思います。しかしそこから重症化しやすい方々への感染が拡大すれば、医療の限界が来てしまうのも時間の問題です。食事や飲み会に行く際、今一度よく考えてからの行動をお願いいたします。

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