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増加する乳幼児の「くる病」

2020年3月

 この10年「くる病」になる乳幼児が増えています。「くる病」はビタミンDが不足することでおこり、足の骨がO脚に変形し歩行しづらくなることもある病気です。

 ビタミンDは腸からカルシウムを吸収し体の中のカルシウムを維持する作用があります。ビタミンDが不足すると骨がやわらかくなってしまいます。そして歩行が始まると足に負荷がかかってO脚になりやすくなります。ですから、くる病は歩き始める1歳ごろに発覚しやすい病気です。また歩行開始の遅れ、歩行異常、身長の伸びが悪いことで気づかれる場合もあります。

 現在、ビタミンDはビタミンK、鉄分と並んで母乳に不足しがちな栄養として重視されています。ではなぜこの10年くらいでビタミンDが不足するようになったのでしょうか。原因として、完全母乳栄養の普及、アレルギー対策としての食事制限や偏食、極端な紫外線対策が考えられています。母乳栄養は赤ちゃんにとってとても利点の多い栄養法です。
しかしこれに日光浴不足、離乳開始の遅れ、食事制限などの要因が加わるとくる病になりやすくなります。

 では、ビタミンDの1日当たりの摂取量の目安はどのくらいなのでしょう?「日本人の食事摂取基準」(2015年版)で、0歳児は5μgとされています。この量を母乳で摂取しようとすると通常の5~10倍の哺乳が必要になります。日本の基準は国際的に少な目の量が目安になっていますが、欧米では10μgを推奨しており、日差しが弱い地域や季節はより積極的な日光浴とビタミンD摂取が必要になります。

 現在ではビタミンDのサプリメントも入手可能ですので、完全母乳栄養や混合栄養でミルクの摂取が不十分な場合は服用が推奨されています。また紫外線による皮膚からの合成でもビタミンDは得られます。必要な日光浴は、東京では夏は日差しの強い時間帯を避けて10分程度、冬は1時間程度で良いようです。

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