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おとなの発達障害

2016年10月

 ひとくちに発達障害といっても、運動面と精神面の二つの側面があり、精神面だけでも知的能力障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、限局性学習障害など、さまざまな発達障害があります。また医療界と教育界でも発達障害のとらえ方に違いがあります。

 最近話題になっているのが「おとなの発達障害」です。発達障害は子どもの頃から始まっていますから、おとなになって発達障害が発現するわけではありません。おとなの発達障害とは「おとなになった発達障害児」のことです。
 発達障害の程度が重いと、子どものうちに発見されますから、すぐに医療や福祉が関わることになります。一方、程度が軽いと見のがされ、おとなになってから初めて診断がつく場合があります。これがおとなの発達障害です。
 どんなケースが多いかというと、自閉症スペクトラム障害(従来の広汎性発達障害に近い概念です)のうち知的能力障害も言語発達の遅れもないアスペルガー症候群とか、注意欠如・多動性障害のうち不注意が優勢なタイプです。
 自閉症スペクトラム障害には①コミュニケーションの問題、②対人関係の困難さ、③こだわり、という三つの特徴があります。

 コミュニケーションでは言葉以外のメッセージ、たとえば表情とか口調とか身ぶりなどの非言語的コミュニケーションを読み取るのが苦手で、相手の思いや気持ちを推しはかることができません。皮肉を言われてもけろっとしている一方で、相手がいやがることを平気で言ったりします。
 当然、対人関係にひびが入り、みんなから敬遠されることになります。しかし本人はみんなから敬遠されていることに気づかず、平気で寄って行ったりするので、ますます対人関係が困難になります。
 こだわりにはいろんなパターンがあります。電車や昆虫などの物に対するこだわり、物の配置やゆがみなどの形に対するこだわり、登校するために家を出る時刻や通学経路などのスケジュールに対するこだわりなど、さまざまなこだわりを持っています。
 一方、注意欠如・多動性障害では、多動性や衝動性が目立つタイプは子どもの頃に診断がつきますが、不注意が優勢なタイプは往々にして見のがされがちです。社会人になって就職したのに、文書を作成すると誤字、脱字が多いし、計算間違いはするし、何度注意されても同じ間違いをくり返すので、周囲からはダメな人間と言われ、自信をなくします。
 実は自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害は合併することが少なくありません。注意欠如・多動性障害はコンサータやストラテラという薬物で症状を改善することができますので、服薬することによって仕事の能率が上がり、周囲の評価が高くなるとともに、本人も自信を取りもどすことができます。

 おとなの発達障害は治療できる可能性がある疾患です。ただしそれを診断することは容易ではありません。インターネットにはさまざまな検査法が出ていますが、肝心なのは子どもの頃の様子です。親や友だちの証言、何より通知表が重要な情報源になります。
 自分はおとなの発達障害ではないかと疑ったら、安易な自己診断をしないで、ぜひ専門家に相談することをお勧めします。

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