医療トピックス

区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。

トピックス一覧へ

皮膚に虫が住んでいる?

2013年8月

 「先生、皮膚がかゆくてしょうがないのです。この赤いところから虫が入り込んで、皮膚の下をあちこち這(は)いずり回っているようなのです。」かゆみを訴える患者さんの中には、皮膚の下で虫がうごめいているように感じる方も少なくないようです。ほとんどは患者さんの思い違いです。「皮膚の中に入り込んで、這(は)いずり回る虫なんて限られていますよ。」とお話しさせていただいています。でも、確かにいるのです。皮膚にくっついて住み着いてしまう虫が。まずは皮膚の付属器である毛にくっついている虫。ご存じ頭じらみ、毛じらみです。頭じらみは、幼少児に多い、頭毛に寄生する虫。小学校などで後ろの席のお友達などから、「毛の中から虫が出てきたよ」などと言われ気づくこともありますが、たいていは頭がかゆくて髪の毛の中を調べているうちに虫や卵を見つけることが多いようです。(意外に簡単に見つかります)プールの季節、頭をかゆがるようなら、頭じらみを疑ってみてください。

 一方毛じらみは陰毛に寄生するシラミです。頭じらみのように動きまわることはほとんどなく、写真のようにしっかりと毛に爪を立てて住み着いています。肉眼では淡い褐色調のかさぶたに見えます。毛じらみは、性的交渉で感染することも多く、性感染症と考える方もいますが、すべてがそうと限らず、同じお風呂に入ったりしてもうつります。小さなお子さんではまつ毛に住みついたりします。ときどき妙齢の女性が「毛じらみになってしまって~」(本当は頭じらみなのですが)などと待合室で大声で話している場合があります。古い人間の私は「これこれ、その間違いは致命的!お嫁に行けなくなりますよ。」と診療しながら密かに思っているのですが…。

 次は毛穴に住みつくニキビダニ。健康な人の毛穴にも住み着いているダニで普通は無症状ですが、免疫機能が落ちると過剰に増殖し、脂腺の多い顔面にニキビに似た赤い発疹や湿疹が出てくることがあります。

 本当に皮膚の中に入り込んで、全身がかゆくなる虫は疥癬虫(ヒゼンダニ)です。疥癬(かいせん)は皮膚の角質層でトンネルを掘りながら、卵を産んで増殖していきます。かゆみは激烈で、特に夜寝ているときに強いという報告があります。皮膚の症状は、①手指間、手首屈側などに末端に小さな水疱を伴った疥癬トンネル,②腋の下、腹部(おへその周り)、胸部、大腿部の紅色の丘疹、③陰部、臀部に好発する紅褐色、小豆ぐらいの大きさの硬い結節で、分布、形状も特徴的です。免疫機能の異常、強いステロイドを長期使用していた場合などは、非常に重篤な角化型疥癬になる場合もあります。

 疥癬が問題になった1970年代は性交渉、同衾(どうきん)によって感染するといわれていましたが、現在では介護施設での集団発生、介護士さんを介しての感染が問題になっています。あくまでも接触によっておこる病気ですので、身近な方で同じような皮膚症状、強いかゆみを訴える方がいたら疥癬の可能性を考えてください。

訪問看護ステーション職員募集

「まちの保健室」各種測定&健康相談

新規開業案内

医療情報提供&逆紹介MAP

会員専用ページ

ページトップへ