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今年もデング熱の流行が心配されています

2015年5月

 昨年(2014年)8月、18歳の女子学生が突然の高熱と全身の痛みで救急搬送され、後にデング熱と判明したニュースは記憶に新しいと思います。
この事は日々診療を行っている医師にとっても衝撃的でした。
というのは海外渡航歴のない国内感染が確認されたのは70年ぶりで、しかも次々と患者が見つかり最終的には患者数は160人にものぼったからです。
70年も国内感染がみられなかったということは普段の診療では鑑別にあがってこないことを意味します。
さらに振り返って2013年、ドイツ人観光客がドイツに帰国後デング熱と診断され、日本で感染した可能性が高いことが分かりました。
つまり実は以前から夏場の高熱は単なる風邪ではなかった可能性が出てきました。
もともと日本国内では年間200例から250例の輸入例が報告されていましたから、その患者が知らない間に蚊に刺されていたとしたら…。

 デング熱は、フラビウイルス属のデングウイルスを病原体とする感染症で、日本国内ではヒトスジシマカが媒介し、ヒト―蚊―ヒトという経路で広まって行きます。
ヒトスジシマカとは、誰もが刺されたことがある、あのやぶ蚊です。
4mm程の大きさで白黒の縞模様があり、刺されるとぷくっと膨れ、とても痒くなります。

 デングウイルスを持った蚊に刺されて感染すると、デングウイルスは血管周囲の組織や所属リンパ節で増殖し、2日から15日の潜伏期間を経て高熱や頭痛、眼痛、顔面紅潮、結膜充血などの症状や2日から7日程度の発熱を呈することがあります。
また、特徴的なのは発症3、4日後に胸部・体幹から始まる発疹が四肢、顔面に広がり、出現1週間ほどで回復するのですが発疹がみられるのは半数程度です。
残念ながら特別な治療法はなく、対症療法が中心となります。

 多くの患者の症状は発熱のみですから、過剰な心配は要りませんが、まれに重症化することがあるので注意は必要です。
例えば、蚊に刺されて数日のうちに発熱し、高熱が続く場合。
デング熱の可能性がありますので毎日通院してください。
市販されている解熱剤には出血を助長するリスクのあるNSAIDs(ロキソニンSなど)がありますが、アセトアミノフェンを選択しながら経過をみる必要があります。
血圧測定や血液検査で血小板、白血球減少がないかチェックし、特に腹痛や嘔吐など腹部症状が現れたら、重症化のサインありと判断し、場合によっては入院をしていただきます。

 もちろん、最大の予防は蚊に刺されないようにすることです。
戸外に出るときは肌の露出をできるだけ避け、虫刺され防止薬を適切に使用してください。
うっかり蚊に刺されてしまったら、そのことを覚えておいて、後に発熱した場合かかりつけ医にそのことをお伝えください。

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