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心房細動ってどんな病気?

2015年2月

 最近、社会の高齢化に伴って心房細動と診断される方が増えています。欧米では高齢者の4人に一人が心房細動を発症するといわれており、日本でもこれから同様に増えていくと考えられています。心房細動とは一体どんな病気なのでしょうか?

心房細動とは
 心房細動とは不整脈の一種で、「脈拍が規則正しくならず全くばらばらになっている」状態です。心臓には左右の心房と心室があり、洞結節というペースメーカーが発信する、1分間に60~100回の規則正しい電気刺激により動いています。洞結節から発信された電気は、まず心房に伝わり心房を収縮させ全身から戻ってきた血液を心室に送ります。その電気は引き続き房室結節という通路を通り、心室に伝わり心室を収縮させ血液を全身に効率よく押し出します。ところが何らかの原因で心房の興奮性が高まった状態になると、心房自体から1分間に350回以上もの細かい電気刺激が勝手に出て心房を収縮させてしまうのです。その収縮はあまりにも早いためしっかりとした収縮にはならず、ひらひらと細かく動くだけとなるため心房細動と呼ばれています。

心房細動の原因
 心房の興奮性が高まる原因として、心筋梗塞や心筋症、弁膜症といった心臓自身の病気であることはもちろん、甲状腺機能異常、高血圧や糖尿病といった全身性の疾患が原因となり、心房に負担がかかることがあります。また、ストレスや自律神経の異常が原因となり心房が興奮しやすくなることもあります。

怖いのは心房細動の合併症
 心房細動そのものはすぐに命にかかわる疾患ではありません。しかし心房細動であることで心臓のポンプ能力が低下し、体に十分な血液が送れなくなる「心不全」という状態になることがあります。また、心房のしっかりした収縮ができないために心房内部に血流の淀みができ、その場で血の塊(血栓)が生じ、これが血流にのって全身に運ばれ血栓症を起こすことがあります。特に脳に血栓が流れてゆくと「脳血栓症」となり意識障害や半身まひなどの症状を起こします。

心房細動と診断されたら…
 動悸や息切れの症状があり、医療機関を受診して診断されることが多いと思いることも少なくありません。いずれにしても心房細動と診断されたら「心不全」や「脳血栓症」はどちらも死亡、あるいは重大な後遺症を残す結果となる可能性がある合併症ですのでしっかりとした予防措置を取っておく必要があります。心不全については心臓超音波検査やホルター心電図検査などを用い心機能を評価し、心房細動自体を治療した方がよいのか、心房細動はそのままで脈拍数のコントロールをするべきなのかを判断し治療します。また脳血栓症予防については年齢や性別、持病や既往症などで血栓症になりやすいタイプかどうかの判定をした上で、必要があれば血液が固まりにくくなるようにお薬で治療を行っていきます。

 心房細動はきちんと合併症の予防さえしておけば決して怖い疾患ではありません。心房細動という疾患をよく理解し、しっかりとした管理をしていきましょう。わからないことがあればぜひ主治医に相談してください。

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