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医療トピックス

2014年10月

「新型うつ病」って何?

 昭和38年に当時の厚生省(現厚生労働省)が行った調査によると、日本人のうつ病患者は5,000人に1人しかいませんでした。当時はまだ日本人の人口が1億人に達していませんでしたから、うつ病患者は全国で2万人未満しかいなかったことになります。それがたかだか50年の間にびっくりするほど増えたのは、アメリカ精神医学会がうつ病の診断基準を出したからです。これによると、ほとんど毎日気分が沈んでいるとか、ほとんどすべての活動に興味や喜びをなくしているとか、思考力や集中力が低下しているとか、死にたいという思いがくり返し出てくるなど、全部で9つの症状のうち5つ以上の症状が2週間続いたらうつ病と診断するというものです。

 診断基準ができたことでうつ病の診断は従来よりもやさしくなりましたが、これによって最も当惑したのが、ほかならぬ精神科医でした。それまでうつ病は一般に中年以降に発病し、病気になる前の性格はまじめで、自分よりも相手を優先し、責任感が強いという傾向が見られました。ところが新しい診断基準を使うと、若年でも発病するし、ほとんど正反対ともいえる性格傾向の人までうつ病になってしまいます。これはいったい何だという精神科医の戸惑いが、新型うつ病という言葉になったのです。

 新型うつ病とは、それまで見られなかったうつ病というだけのことで、新型うつ病という病気があるわけではありません。そこをあえて新型うつ病とは何かに言及すると、うつ病より症状が軽い気分変調症や、非定型うつ病(神経症性うつ病とも呼ばれていました)に加えて、発達障害の一部が含まれているのではないかと考えられています。従来のうつ病と新型うつ病の特徴を表にすると、次のようになります。

従来のうつ病新型うつ病
自罰的他罰的
いつも沈んでいる気分の浮き沈みが激しい
朝から午前が低調夕方が低調
休日も低調休日は元気
どこでも低調会社に行くと低調
食欲不振過食
不眠過眠

 同じうつ病でも、従来のうつ病と新型うつ病では性格傾向が全く異なることに気づくでしょう。専門家の立場からいうと、従来のうつ病は抗うつ薬がよく効きますが、新型うつ病にはあまり効果がありません。最近はインターネットで簡単にうつ病をチェックできるようになっていますが、これで自分がうつ病に違いないと思っても、従来のうつ病と新型うつ病では治療方針が全く異なります。うつ病ではないかと思ったら、自己診断をせずに、ぜひ専門家に相談することをお勧めします。

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