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医療トピックス

2011年10月

氷の食べすぎは“貧血”、これって本当?

“貧血(ひんけつ)”と聞くと皆さんはどういうことを頭に思い浮かべますか。
学校の朝礼の時に倒れるお子さんや満員電車や駅のホームなどで若い女性が倒れるような場面を想像される方もいるのではないでしょうか。これらは目の前が真っ暗になって、ほんのわずかの間意識が遠のくいわゆる“脳貧血”という状態で、脳に行く血液の流れが一瞬低下したことによっておこる症状です。
“貧血”には、このように体の一部の組織の血流障害によって生じる諸症状を指すこともあり、おそらく皆さんの多くはこういった症状ないしは状態を“貧血”と認識されているのではないでしょうか。
しかしながら、私たち医療関係者が“貧血”という言葉を使う場合には、血液中の赤血球数や血色素量(ヘモグロビン濃度)が減少した状態、わかりやすく言えば“血がうすい”ことを意味して使うことが多いのです。ですから、同じ“貧血”という言葉でも、意味することが違っており、誤解が生じないよう注意が必要な場合があります。
なお、私共が使う意味での“貧血”にはいろいろなタイプがあります。その中でも、赤血球を構成しているヘモグロビンの材料となる鉄の不足が原因でおこる“鉄欠乏性貧血”が多くを占めています。

さて前置きが長くなりましたが、表題の件、いささか時季外れの感も拭えませんが、これは何のことだと思われますか。
実は、氷をやたらと食べる症状は“氷食症(ひょうしょくしょう)”といって、通常は口にすることのないものや栄養価の低いもの(土、紙、毛、木炭等)を食べる“異食症(いしょくしょう)”の一つとされています。昔は貧血、特に鉄欠乏貧血になると「土かべを食べるようになる」などと言われたこともあったようですが、現在では都会で土かべをみる機会もほとんどなくなりましたので、事の真偽は定かではありません。
一方で、氷は冷蔵庫の普及でどこの家庭でも作れる時代です。この氷をふつうの人ではありえないくらい(1日製氷皿1杯分以上という定義もあるようですが)食べる“氷食症”の原因の代表格が貧血(ほとんどが鉄欠乏性貧血)です。

何故氷を食べたくなるのか、その機序に関しては、

  1. 貧血になると口の中の温度が高くなるため、それを下げようとするため
  2. 貧血による食べ物の好みの変化
  3. 脳の酸欠状態による自律神経機能の乱れの影響
    などをはじめとして諸説入り乱れており、まだはっきりとは解明されていないのが現状です。

ということで、近年のヒット商品“ガリ○○君”などのようにおいしい氷製品や昨今の猛暑の夏ですと、氷類をやたらと食べていても当たり前だと思ってつい見過ごしやすいものですが、これから寒くなってもやたらと氷をかじっている人が周りにいたり、あるいは自分自身がそうでしたら、一度は“貧血”という言葉を頭に思い浮かべて、お近くの医療機関を受診することをおすすめします。 貧血の検査はわずかの採血量で調べられます。もし、その結果が例えば鉄欠乏性貧血だと判明すれば治療でよくなります。そして、氷の呪縛からも逃れられます。

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