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医療トピックス

2010年10月

小児科医が恐れるRSウイルス ご存知ですか?

 ある調査では、高熱が出やすいインフルエンザに対しては、乳幼児の父母の9割が警戒心を強く持っているのに対し、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染し、有効な治療法がなく小児科医が最も恐れる「RSウイルス感染症」については、知らない父母も多く、警戒している割合は、2割弱にすぎなかった。

 RSウイルス感染症は、秋~冬に流行シーズンをむかえます。  
 RSウイルス感染症での発熱は、3分の1から半数の子どもでしかおこりません。年齢が低いほど発熱を伴うことが多くなりますが、さらに小さい0か月児では熱や咳がないまま突然呼吸停止がおこるケースもあります。

 RSウイルスは2歳までにほぼ100%感染し、繰り返し感染することによって徐々に免疫が高まっていきます。  
 感染すると上気道炎(咽頭炎や鼻炎)を起こし鼻水や咳がで始め、多くで重症にはならずに1~2週間で軽快しますが、しばしば下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)をおこして、重症の呼吸困難をおこします。  
 米国での致死率は1~3%で、季節性インフルエンザのの致死率0.05%より高い。

 重症になり入院する乳幼児の年齢は1歳未満に集中しており、1歳を過ぎてからの感染では重症になることは少なくなります。乳児期の気管支喘息との鑑別が難しいこともしばしばあります。低年齢ほど重症になるリスクが高く、特に6か月以内の乳児、未熟児、慢性疾患のある乳幼児などで高リスクです。有効な治療法はほとんどなく、酸素投与、輸液、呼吸管理などの治療が中心となります。

 予防薬があり、わが国では抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体のパリビズマブ(商品名シナジス)が認可されていますが、保険適用は感染すると重症になりやすい未熟児や慢性肺疾患や先天性心疾患などの慢性疾患を持つ「高リスク児」のみです。  
 重症になりやすい「高リスク児」にとって予防効果は著明なのですが、非常に高価な薬剤であり、健常児には使われません。

 健常児にとって、重症になるかどうかの鑑別は難しく、予測できないことも多く、RSウイルス感染を疑ったら、経過観察が大切になります。  
 感染してから2日目くらいまでに通常の風邪と変わらない鼻水、発熱、咳の順で症状が発現し、重症になると急速に喘鳴(ゼーゼー呼吸)や低酸素血症、呼吸困難など をおこしてきます。重症になる兆しがあったら早めに入院治療のできる医療施設に搬送します。

■乳児の重症化の兆し
(1)ミルクを飲みたがらない
(2)呼吸が多い(60回/分 以上)

■家庭での予防
 乳児への感染を防ぐことが大切です。RSウイルスは接触や飛沫を介して感染し、患者の皮膚や衣服、玩具、手指で4~7時間の間感染性を保ちます。
 通園している兄姉よりの感染を防ぐため、皆での手洗いを励行し、風邪症状のある家族は接触を避け、マスク着用を行います。
 家庭内の喫煙により気道の粘膜が弱くなり感染がおこり易くなることも知られています。
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