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医療トピックス

2017年10月

緩和ケアを知っていますか?

 緩和ケアって聞くとどのようなイメージがあるでしょうか。
 治療法がないから苦痛だけをとる治療? 医師から見放された? あきらめるっていうこと? 麻薬使ったりして中毒にならない? 寿命が短くならない? もう家には帰れない?  答えはNoです。

 それでは緩和ケアってなんでしょうか? 世界中の人々の健康を守る組織である世界保健機関(WHO)では、緩和ケアを次のように定義しています。
 「緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である」。

 ちょっと難しい定義ですね。わかりやすく説明しましょう。
 死と直面するような病気にかかってしまったらとてもつらいです。皆さんが思い浮かべるつらさは、身体の痛みでしょうか。実は患者さんは身体の痛みはもちろんですが、病気に対する不安や恐れなどで気分が落ちこんでしまったりする精神的・心理的な苦痛、仕事や学校に行けるか、仕事をしなくて生活が大丈夫か、などの社会的な苦痛、自分は何のために生きているのか、などに悩むスピリチュアルな苦痛など様々な苦痛に直面しているのです。
 このような苦痛を的確に評価し、つらさを和らげる医療やケアを積極的に行い、患者さんと家族を支えることを緩和ケアといいます。
 緩和ケアを早い時期から取り入れていくことで、患者さんを病気の側からとらえるのではなく、「その人らしさ」を大切にし、患者さんと家族がどのように生活をしていくのかを考えることにより、療養生活の質を改善することも治療と同じように大切なことだと定義しています。

 最近の海外の研究で、緩和ケアを早い時期から取り入れていくことで、より長く生きることができることが証明されました。緩和ケアの提供が、がん治療において重要な役割を担っていることが研究レベルで示されたことは非常に画期的なことです。

 このような緩和ケアを提供するためには何が必要でしょうか?
 かかりつけ医を含む緩和ケアに関わるすべての医療者が緩和ケアの基本的な知識や技術を学ぶこと、緩和ケアに習熟した専門医による専門的緩和ケアを提供できること、患者さん・家族の意向を踏まえ、住み慣れた家庭や地域での療養を選択できること、が必要です。

 また患者さん・家族にも冒頭で述べたような誤解を解いていくことも必要です。我が国においても、法律の中に緩和ケアが盛り込まれたことにより緩和ケアの普及が確実に前進しました。現在も、緩和ケアの基本を学ぶ研修、がん診療連携拠点病院での専門的な緩和ケアの提供、専門的な知識を有する看護師等の育成、自宅で最期を迎えることを可能にするための地域との連携体制の構築、国民への普及啓発が進められています。

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